深井、といえば、九龍サイドでもかなり奥地にある場所しかも、村です。この場所は、燒鵝(ローストグース)の聖地と呼ばれる場所で、ミシュラン店舗も深井にある燒鵝専門店から1店舗出ているほどです。今回は、何店舗かある燒鵝専門の中でも1962年創業の老舗燒鵝専門店「能記飯店」をご紹介します。香港では、ミシュラン獲得店・・・てはなく、そのお店の並びにあるお店が、実は地元の人に根強い人気で美味しい、というパターンは珍しくないのですが、今回は、まさにそのパターンです。
博物館級、現役の店舗で歴史が体感できるレトロな店内看板!オールド香港の世界がギュっと詰まった店内です。お店入ってすぐ、右の場所にお店の看板メニューの燒鵝が鎮座しております。鵝は、脂が非常に多く、常に吊るして油を下に落とすことでギトギト感を防ぐそうです。
お店は、地上階、階段を上がった2階席の構成。2階席から地上階を見下ろした風景です。ワイワイ皆さん燒鵝を楽しまれている様子を見て、期待が高まってきます。
メニューは写真付で大変わかりやすいものが用意されております。燒鵝一羽が520HKDです。今回は、7名で訪れたので一羽分の分量をチョイス。4人であれば半羽プラス一品料理何品かで十分満足できるかと思います。
サイドメニューもかなり豊富なので、今回は、名物の燒鵝の他に何品か一品料理も頼んでお店の料理自体のクオリティをチェック。
ちなみにメニュー裏には、有名なイラストレーターさんが書かれたお店に集う香港スター達のイラストが。2009年のイラストとプリントされています。お店の様子がリアルに再現され、その時代のスターが反映されている夢のあるイラストです。
注文後、はじめに来たのはサイドディッシュではなく、いきなり主役が登場!やはり一羽分だと迫力がありますねぇ・・・。表面のパリパリ感が伝わりますでしょうか。皮の下のお肉部分は、キュっと密度が詰まっており、締まった食感なのですが、下味の付け方と上に回しかけるソースの味がとても滋味深く、変なスパイス感が引っかかる、ということもなくクセのない味付けです。燒鵝につけて食べられる定番の甘い「プラムソース」も能記飯店のプラムソースは甘さが控えられたソースなので、他のお店と食べやすさが全く違いました。燒鵝って、正直なところ、そんなに他のお店と比べて差が歴然と出るのかしら・・・と素朴な疑問だったのですがさすが老舗の実力と風格に恥じない味わい、食べた一同唸る美味しさでした。
もうひとつの隠れたヒットメニューが、豉醤炒鵝腸。鵝の腸を豆豉とオイスターソースで炒めた一品。その日に新鮮な鵝の腸を使い切ってしまう、ということで、もし確実にこのメニューを食べたければ、予約の際に取りおきしてもらいましょう。下処理を丁寧にしているお店だな、ということが一発でわかる腸の食感です。腸のメニューは、噛み切れないお店もあったりするのですが、下処理が本当に丁寧なので、臭みもなく、歯切れよく腸の食感が楽しめます。味付けもどんどん箸が進んでしまう、絶品メニュー。マストで押さえておきたいです。
潮州風の韮のみじん切りが入った塩味のさっぱりソースにつけていただく豆腐の揚げ物もお店の調理法、豆腐の質でおいしさがわかれる一品。能記飯店のものは「外カリ中トロ」な豆腐の食感で、絶妙なコントラスト。これもスターターでマストオーダーですね。
海鮮ものは、烏賊の揚げ物と蝦の揚げ炒めをオーダー。焼鵝のお店ながら定番海鮮メニューもきちんと押さえており、お客さんの欲張りなニーズを満たしてくれます。安心して食べられるクオリティです。
香港では定番の「スープ浸し」の炒め野菜。写真は豆苗の炒めものをスープに浸した一品。野菜をシンプルに炒めたものとは違う、あっさり味になりますが、このあっさりがクセになる調理法です。
シメは炒飯で。蝦、叉焼、卵の具財入り。1人前でこの量・・・。凄いですよね・・・。味は、万人受けする味ですのでご安心を。
深井村になぜ焼鵝のお店が集中してできているのか、おいおいその歴史を紐解いてもっと調べたいところですが、香港の人が車を飛ばし、深井村の駐車場の長蛇の列にもめげず焼鵝を目指して深井村までわざわざ訪れる意味が、実際に食べてみてよく理解できました。
ちなみに、深井村の周辺は、ノスタルジックな昔懐かしい香港の生活の様子が残っているエリアですので、日中の明るい時間に近辺を散策してから、お目当ての焼鵝を楽しむ、という過ごし方もよいかもしれませんね。
北京ダックとも焼鴨とも違う、焼鵝独特の味わい、ぜひ堪能しに能記飯店にお出掛け下さい。
【店舗情報】
店名:能記飯店 Nang Kee Chinese Restaurant
住所:深井深井深康路13號
13 Sham Hong Road,, Sham Tseng
電話番号:2491-0392
営業時間:11:00-22:00
定休日:なし
※旺角から赤ミニバスもしくは52Xで深井村まで行けます。52Xのバスの場合は、碧堤半島(Bellagio)というバス停で下車し、徒歩5分かからない場所にお店があります。
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