ほぼ佐敦なエリアの尖沙咀の外れ。長い歴史を刻んでいる杭州料理の老舗が今回ご紹介する天香樓。創業は1930年代、杭州から香港に店舗移転した1949年から故郷の杭州料理の味を香港で守り伝えている、レジェンド級のお店です。
通りには碧と赤の雰囲気あるお店のネオンサインがあり、これが見えてくるといよいよレジェンド店に入店だ、とワクワク度が高まります。
重厚な店内は、オールド香港の雰囲気がたっぷり味わえる時間がそこだけ止まったかのような空間。3代目の韓(ホン)さん(写真中央)が伝統を守り続け、お店を切り盛りしています。
私たち香港在住者、あるいは香港人には別メニューがちゃんとあるのですが、日本人だとたいがいこのピンクのオススメメニューが載った1枚のメニュー表を差し出されます。日本語で書いてあるので、初めての人でもわかりやすい心遣いです。
まずは前菜編。馬蘭頭とよばれる菜っ葉と干豆腐を刻んださっぱりとしたスターター。
プリプリな弾力のくらげは適度な塩気でサッパリと味わえます。
これ、美味しかったなぁ・・・酔っ払い鳩。鶏はよく見るメニューですが鳩だと引き締まった感じの身が格別な味わい。お気に入りなオススメ逸品。
箸休めにセットされている大根の漬物は、山椒が効いていてほんのり醤油味。日本人の口に合います。
さて、もともと杭州は内陸の都市の為、淡水ものがメニューに多いのが特徴。小ぶりな淡水エビを龍井茶で炒めがサッパリメニュー「龍井蝦仁」は杭州料理を代表する名物料理の1つ。これはマストトライです。特に天香樓は、龍井茶の質にこだわっていることでも知られているので、使用している龍井茶の味わい、格段にお店のメニューとは違いました。淡水エビの大きさも大きい型を使っているのがわかります。
普段は敬遠するカエルメニューも、老舗の味だと下処理が良いのか、とてもあっさりして美味。身が柔らかく水分を含んで瑞々しい味わいでした。
お店のスタッフさんがやたらオススメしてきた「フライドチキン」。本当にこれ絶品!外のカリカリしたクリスピーな揚げ具合と中のジューシーさのコントラスト。必食メニューですね。
天香樓のサイドメニューでこのメニューを外してはいけません!豆苗の炒め物。柔らかい葉の部分だけを丁寧に摘んだもののみを使用したシンプルながら、手間のかかっている一皿。お値段も、この一皿で200ドル越えするので、ちょっと街場で注文する値段とは桁違いでおののきますが、それだけの価値がある一皿だと感じました。
さて、天香樓がレジェンドな由縁の1つがこの上海蟹(大閘蟹)のお値段。年々値上がりしているようですが、訪れた日の1杯のお値段は・・・1000HKD!この値段でよそのお店なら上海蟹のコースを食べてもお釣りがくる値段です。値段を確かめないと恐ろしいことになるのでご注意下さいませ。(この日の蟹はちょっと型が小ぶりな気が・・・でも1000HKD!)
そして、レジェンドな由縁のビックな理由をもう1つ!1杯で「六月黄」と呼ばれる小ぶりな上海蟹が7杯分も入ったという『蟹粉撈麺』!上海蟹は爪の部分が黒ずんでいるものが多いのですが、そのような黒ずんだ部分は一切使わず、仕上がりの色の綺麗さまでこだわっているというレジェンドな1杯。香港イチ高い麺料理、として君臨しています。一杯でなんと468HKD・・・もう笑うしかない値段ですが、ひとたびこれを口にしてしまうと、その美味しさの虜になってしまう魔力がある一杯です。
※写真は1人前の半量
テーブルサーブの直前に蟹あんをかけるので、麺との絡みが絶妙。こうした蟹あんをかけるタイミングにも気を配っています。老舗の実力、気配り、こういった細かいところに出ますね。
濃厚な蟹あんと麺のバランスが絶妙!蟹の卵、身、味噌が太麺と絡まって非常に官能的な味わいの一杯です。高いけど、高いけど・・・これは一生に一度は経験してもらいたい!そんな味わいなのです。
一品一品があまりにもビックリするお値段なので、普段づかいは到底できないお店ですが老舗の風格、味わいをどうしてもどうしても体験したい!という気合の入った時とどうしても食べたい!という気持ちの強い仲間6~8人位でチャレンジされることをオススメします。
【店舗情報】
店名:天香樓 Tin Heung Lau
住所:尖沙咀柯士甸路18號C僑豐大廈地下
G/F,Kiu Fung Mansion,18C Austin Ave, Tsim Sha Tsui
電話番号:2366-2414
営業時間:12:00-14:30 18:00-22:00
定休日:なし
※昼、夜共に単品の同メニューのみです。コース料理やランチメニューの設定はありません。
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